保温材下腐食

T-20 保温材下腐食 (V1)

T-20-1 損傷の種類
保温材、耐火被覆材下に水がたまることから、導管設備・圧縮容器・構造部品で腐食が起こる。
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T-20-2 影響を受ける材料
炭素鋼、低合金鋼、300シリーズステンレス、二相系ステンレス、(400SUS)

T-20-3 主な要因
(a) 保温材の設計、タイプ、温度、環境(湿度、降雨、海岸環境からの塩化物イオン、高SO2を含む工場環境)が主要因
(b) 水がたまるような設計・設備の悪条件がCUIを促進。
(c) 蒸発速度が速まる温度までは、温度が上がるにつれ、腐食速度も大きくなる。
(d) 水があまり蒸発せず、保温材が湿った状態である100℃~121℃で腐食は顕著になる。
(e) 湿度が高い海岸環境において、CUIの発生上限温度は121℃まで拡がる。
(f) 湿性環境に保たれた保温材はさらに問題である。
(g) 繰り返し熱作業または発停繰返し運転は腐食挙動を促進する。
(h) 露点以下で作業される装置は金属表面で水凝縮する傾向にあり、湿潤環境をもたらしリスクが高まる。
(i) 塩化物のような汚染物質が保温材に浸出し、損傷が悪化する。
(j) 雨季のある地域、温暖な地域、海岸付近に位置するプラントでは乾燥した地域、寒冷地に比べ、CUIが起きやすい。
(k) 塩化物(海岸環境、冷却塔)、SO2(排気管)のような汚染物質を供給する環境では腐食が促進する。

T-20-4 装置・設備の影響
(a) 炭素鋼・低合金鋼では孔食、減肉が問題となる。
(b) 300・400シリーズステンレス、二相系ステンレスでは孔食・局部腐食が問題となる。
(c) 塩化物イオン存在下では300シリーズステンレスの応力腐食割れも問題となるが、二相系ステンレスの応力腐食感受性は低い。

T-20-5 装置・設備の影響
(a) 立地の問題
作業施設において、懸念される共通の場所は、冷却塔の風下、水蒸気排気口周辺、多雨環境、酸蒸気、噴霧器による冷却装置の周辺など湿度の高いところである。
(b) 設計の問題
(ⅰ) CUIは損傷した絶縁体装置、水蒸気防壁、耐風雨材、マスチック、絶縁体の突出部、フランジなどの保温材の末端でよく見られる。
(ⅱ) 容器外壁へ直接溶接された保温材サポートリングなどの機器、特にはしご周辺、プラットホームの留め具、可動式の取手、噴射口、平縁などである。
(ⅲ) スーチームトレスが損傷/漏れている機器。
(ⅳ) 塗装部における局部的損傷
(ⅴ)  直立塔の保温材サポートリングなどの、蒸発する前に水溜りが自然にできる(排水の自然集積)場所と不適切に仕切られた耐火被覆。
(ⅵ) 水平なパイプランが垂直なパイプラン底部に近接しているところで起きるCUIが典型的である。

T-20-6 現象・損傷形態
(a) 炭素鋼や低合金鋼から保温材が取り除かれた後、CUI損傷は粗くはがれやすい部品に錆付いたスケールとして見られる。損傷はかなり局所化している。
(b) 局所化したケースでは、吹き出物型の孔食が見られる(通常は塗装欠陥部)。
(c) 300シリーズステンレスで、特にケイ酸塩カルシウムの保温材において、孔食と塩化物による応力腐食割れが起こる。
(d) 保温材と塗装損傷の部分はしばしばCUIの可能性を示す。

T-20-7 防食・緩和
(a) プラントで使われる構造物質の大半はCUI劣化の感受性が高いので、適切な塗装を利用した緩和が最も効果的で、絶縁体/密閉/蒸気を防ぎ続けることが水分の進入を妨げる。
(b) 質の良い塗装の適用が長期的に防食する。
(c) 保温材の選択が重要。発泡ガラス材の密閉部が容器/パイプの内壁の水分をロックウールより少なく保ち、腐食性が減る。
(d) 孔食、塩化物SCCを減らすため、300シリーズに敷く絶縁体の塩化物イオンを減らす。
(e) 運転条件で緩和するのは通常は不可能。しかし、熱管理があまり重要でない備品上の保温材除去を考慮すべきである。
(f) 保温材下の腐食の点検計画を構想すべきで、予測/解析をはじめ、体系的に取り組むべきである。また、点検計画は作業温度、類型と経年/塗装の状況、類型と経年/保温材物質の状況を考慮すべきである。さらに、優先順位は装置の物理的点検からで、保温材の形跡、マスチック・防水材の損傷、浸水の痕跡、備品周辺のたれ落ちる廃水の錆などを調べる。
(g) 費用効果を高めるために複合的な点検技術を利用する。
(ⅰ) 視覚検討のため部分的または全面的に保温材を除去する
(ⅱ) UTで肉厚検証
(ⅲ) x線リアルタイムラジオグラフィでの肉厚観測(小径の配管用)
(ⅳ) 湿性保温材の確認のための中性子後方散乱法の技術
(ⅴ) 深いところまで浸透する 渦電流点検(駆動車による自動化)
(ⅵ) 赤外線カメラによる湿性保温材、損傷、被服物下の保温材の欠落などの点検。
(ⅶ) ガイド波超音波探傷

T-20-8 関連機構
大気腐食、酸化、塩化物SCC

ASME資料の概説
保温材や耐火物の下に水がトラップされると配管、圧力容器、構造物に腐食を起こす。

 

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