「鉄鋼材料の実務知識」の第4回「鋼材の損傷機構について」に示した「エロージョン」をさらに詳細に分類して解説する。
損傷 | 解説 |
エロージョン | エロージョンとは,固体、液体および気体が材料との相対的動きや衝撃的な繰り返し作用によって生ずる機械的力によって材料表面を変形・劣化させ,少しずつ材料を脱離させその場所に減肉を生じさせる現象と定義される.したがって,セラミックスやプラスチックなどの非金属材料にも生じる.その機械的力の大きさには,1回の攻撃で材料に塑性変形や脱離を起こさせることができるものもあるが,それが作用する範囲は狭く,また深さ方向については表面近くに限られ,構造物全体を破壊するようなものではない.しかし繰り返し度が莫大で,時間の経過と共に変形が蓄積されて顕著な減肉に至る。 |
2相流によって加速される液体流磨耗を「エロージョン - 液体」、粉体(固体)流による磨耗を「エロージョン - 固体」と区別して呼ぶことがある。火力発電用ボイラでは飛来する燃焼灰によるフライアッシュエロージョン、スーツブロワからの蒸気噴霧によるスーツブロワエロージョンがある。 | |
エロージョン・コロージョン | エロージョン・コロージョンは保護皮膜やスケールを取り除くことによって腐食がエロージョンに寄与する場合や、エロージョンとコロージョンの相乗効果によって金属表面がさらなる腐食に曝される場合に起こる損傷。 |
流速に差がある場合に高速部で発生するキャビティが低速部で崩壊することによって生じる壊食である。プロペラ、水車、などの高速流体を取り扱う機器において、静圧が低下して溶液の蒸気圧程度になると気泡が発生し、静圧の高い場所で気泡が崩壊すると衝撃圧により材料表面が局所的に損傷する現象である。キャビテーションエロージョン、キャビテーション壊食、キャビテーション侵食という。損傷の初期には表面に塑性変形による多数の浅いくぼみに気泡が形成されるが、損傷の進行とともに材料表面から小片が脱離する。さらに損傷が進展すると表面の凹凸が大きくなり、深いくぼみに気泡が捕捉されて損傷速度は低下する。 | |
キャビテーション |
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木原重光