「鉄鋼材料の実務知識」の第4回「鋼材の損傷機構について」に示した「腐食」をさらに詳細に分類して解説する。
損傷 | 解説 |
湿食 | 腐食には液体中で材料が溶出する湿食と気体中で材料が溶出する乾食がある。一般に高温腐食が乾食であり、狭義の意味で腐食という場合は湿食を指す。湿食は流体成分によって特徴付けられる。 |
淡水腐食 | 工業用水などによる炭素鋼、その他の金属の均一腐食。 |
海水腐食 | 海水による腐食。海水はその腐食性より清浄海水と汚染海水に分類される。汚染海水のほうが清浄海水に比較してpHや溶存酸素濃度が低く、COD(chemical oxygen demand; 水中の有機物量を示す指標で、過マンガン酸カリウムなどの酸化剤で酸化するための必要量から求めた酸素消費量)の多い傾向にある。 |
流動加速腐食(FAC) | 高純度で低酸素のコンデンセート流で腐食流体の金属表面との相対移動で起こる減肉腐食。減肉は局部的な乱流による保護酸化膜の崩壊で起こる。 |
金属が水中の溶存酸素に曝されることにより腐食が発生する。 | |
酸露点腐食 | ガス送管中の硫化物・塩化物は燃焼生成物中で二酸化硫黄、三酸化硫黄、塩化水素を形成する。送管中に十分低い温度(ガスの露点以下)でガスと水蒸気は凝縮して硫酸、塩酸を形成し、顕著な腐食をもたらす。 |
硫酸露点腐食 | |
塩酸露点腐食 | |
保温材下腐食 | 保温材、耐火被覆材下に水がたまることから、導管設備・圧縮容器・構造部品で腐食が起こる。炭素鋼、低合金鋼では全面腐食となり、通常の淡水中より腐食速度が速い。また、オーステナイト系ステンレス鋼では応力腐食割れが発生する。 |
微生物腐食 | 細菌、菌類、藻類のような、有機生物の存在で起こる腐食。さびこぶ、粘着性の有機物質の存在が関係している。 |
土壌中での金属の腐食を土壌腐食という。 |
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木原重光