MatGuideにおける鋼材の検索、選定、相当検索などの利用にあたっての基礎知識として、JIS鉄鋼区分について簡単に解説する。
鉄鋼のうち、鉄は銑鉄、合金鉄および鋳鉄、鋼は普通鋼、特殊鋼および鋳鍛鋼を意味している。以下にそれらについて簡単に述べる。
1.普通鋼(炭素鋼)
鉄にC, Si, Mn, P, Sの5元素が入った鋼を炭素鋼または普通鋼と呼ぶ。JIS記号では、SS, SB, SV, SMが普通鋼である。普通鋼は、条鋼、厚板、薄板、鋼管、線材および棒のように形状で分類される。
2.特殊鋼
普通鋼に特殊元素が入って特殊な性質を示すものを特殊鋼という。 特殊鋼は以下のように性状別に細分類される。
2.1 合金鋼
特殊鋼を調質(焼いれ・焼戻し処理、焼戻し温度400℃以上)して使うものを合金鋼という。強い靭性を有し、機械構造用部材に適している。JIS記号では、SxxC、焼入れ性を保証した(H鋼)としてSCr、SCM、SMnC、SCM、SNC、SNCM、およびSACM、SGV、SBV、SQVが合金鋼である。
2.2 工具鋼
特殊鋼のうち、工具に使うものを工具鋼と呼ぶ。JIS記号では、SK、SKS、SKD、SKT、SKHが工具鋼である。
2.3 特殊鋼用途鋼
特殊鋼のうち、特殊用途に使うものを特殊用途鋼と呼ぶ。JIS 記号では、SUS (ステンレス鋼)、SUH(耐熱鋼)、NCF(耐食耐熱超合金)、SUJ(軸受鋼)、SUP(ばね鋼)、SUM(快削鋼)が特殊用途鋼である。
3.鋳鋼
鋳造で用いる鋼を鋳鋼と呼ぶ。JIS記号では、炭素鋼鋳鋼品SC,SCW、構造用合金鋼鋳鋼品 SCC, SCMn, SCSiMn, SCMnCr, SCMnM, SCCrM, SCMnCrM, SCNCrMおよび特殊用途鋼鋳鋼品 SCS, SCH, SCMnHが鋳鋼である。
4.鍛鋼
鍛造で用いる鋼を鍛鋼と呼ぶ。JIS記号では、炭素鋼鍛鋼品SF、構造用合金鋼鍛鋼品SFV、SFVV、SFCM、SFNCMが鍛鋼である。
5.鋳鉄
鋳鉄は、炭素量2.14%以上を含んでいる。JIS記号では、ねずみ鋳鉄品FC、球状黒鉛鋳鉄品 FCD、FCAD、可鍛鋳鉄品FCMB、FCMW、FCMPが鋳鉄である。